里の屈指の上忍同士、常に冷静でそれはそれは大人な二人だと 尊敬されてやまないアスマとカカシが。 こんな二人だと知ったら、下の者たちが見たらなんというだろう。 「ちょっとアスマ!あんた俺が風呂上りに食べようと楽しみに            とってあったアイス食べたでしょ?!」 「俺が買ってきて、俺の冷蔵庫の中身だ。食って何が悪いんだよ。」 濡れた髪を拭くよりもまずは食べ物の抗議。 よほど食べれれたことが悔しいのか 目にうっすらと涙までためている。 「ひどい!昨日、ちょうだいって言ったら      食べていいよっていったくせに!」 「昨日は昨日、今日は今日だ」 アスマはビールを喉に流し込んだ。 食べ物の一つで口げんかする日常を、下の者が見たら ・・・なんというだろう。

ヒゲとアスパラ。

ぶすっとしながらカカシもビール缶を手にする。 (もちろん、アスマの冷蔵庫から) テーブルの上に見慣れない一枚の紙。 手にとり、すみずみと読み上げる。 「ナニナニ・・・性格は楽天家、ぶっきらぼう…好きなものソーセージ、とろろそば            ・・・嫌いなものアスパラガス…」 「勝手に読むなよ」 「好きな言葉…今のナシ!」 「あー!もう!読むなって」 新しく担当になる下忍たちに配るための自己紹介用紙を カカシの目の前に置いたのが間違いだった。 定められた枠の中の項目を記入するだけなのだが、 「笑わしてくれるね〜アスマちゃん」 カカシは、ひーひーと目に涙をためて笑う。 「書き足してもいい?」 「断る」 既にカカシはペンを握っていた。 「好きなもの…はたけカーカーシ、と」 ご丁寧にも語尾にハートマーク付。 書いた本人はとても満足気だ。 「やると思ったぜ…」 「戦ってみたい相手…奈良シカマル(将棋)…」 カカシの笑顔が引きつる。 その瞬間にアスマは嫌な予感がしたが既に遅かった。 「書き直さなきゃね…」 ガシガシと紙に穴が開きそうな勢いでシカマルの名を黒く塗りつぶし、横に 【はたけカカシ!!!】 と書き足した。 「これでよーし」 気がすんだのか、ペンをテーブルに置いた。 「お前は書いてないのか?」 「俺今年は担当ないからね〜         アスマせんせーみたいに面倒みよくないし」 「なんだよ、つまんねーの」 「今こんなのあるんだね」 「なーんか生温いよなぁ」 「ナルト達の時になくてよかったよ」 「シカマルたちに何言われるかわかんないしなー」 「・・・・。」 NGワードを口にしたことをアスマは気づいていない。 再びカカシはペンを走らせた。 嫌いなもの、追加。 「おい、シカマルを嫌いなものにすんな」 「もう消せない」 元10班の子に対して優しいを通り越して アスマは甘やかしてると、いつもカカシは思う。 いわゆる過保護ってやつだ。 教え子に対して嫉妬を通り越して 敵対心を剥き出しすぎでカカシは大人気ないと、いつもアスマは思う。 いわゆるガキってやつだ。 お互いにそれは常に喧嘩のタネ。 毎日毎日飽きることなく繰り返される。 「何が気に入らないんだよ」 「いつもいってるでしょ?」 これではまた喧嘩になるのは見えている。 面倒なことに気力を奪われたくないと、 はぁ、と溜め息をつきアスマは新しい紙を取り出した。 同じように項目を埋めていく。 字にもしたくない「アスパラ」も、もう一度書く。 【戦ってみたい相手】の欄を二重線で消した。 「…何してるの?」 興味ぶかげに覗くカカシを無視し、その上に書き足した。 【いつも戦ってる相手:はたけカカシ】 「嘘は書けねーからな」 間違ってはないだろう?と、いやみたらしく笑うアスマ。 確かにくだらない口争いは毎日している。 髭をカカシはこれでもかというほど引っ張った。 「いたた」 「ばっかじゃないの?」 とりあえず「カカシ」の名が紙に記入され満足だった。 「ま、ケンカするほど仲がいいってね♪妬まれちゃうかな」 笑顔でそう呟きながら、 (アスマの弱点はアスパラかぁ) ・・と次の仕返しの手段を企てるカカシだった。 里の屈指の上忍同士、常に冷静でそれはそれは大人な二人だと 尊敬されてやまないアスマとカカシが。 この状況を下の者たちが見たらなんというだろう? 終。
<あとがき> 臨の書よりネタを拝借しました。 とろろそば好きって。思いのほかヘルシーなんですね、アスマさん。 アスパラ嫌いには笑わしてもらいましたw子供やんw 何よりもアスパラの写真素材があったことが嬉しいですwww 戻る