かまくら

「さみ・・・・」 左隣でぐっすり冬眠を貪る熊を起こさないように身を丸めた。 ここ数日で急に冷え込むようになり、こうして日が昇らないうちに目が覚めてしまう ことも珍しくなかった。 お互いに寝相はいい方じゃないものだから、毛布も掛け布団もぐちゃぐちゃになって足元に 固まっている。 「はぁ・・・よく寝れるよな・・これで。」 いつものように愚痴を口にしながら、体を起こし布団を引き上げた。 バサリとアスマの上に被せ、再び自分も潜り込む。 眠気はすっかり吹き飛んでいるが、まだ室内は寒い。 人間湯たんぽのアスマが起きるまでは布団から出ないことに決めている。 同じ人間なのにいやに体温が高い。だから冬は嫌でもペッタリとあいつに 身を貼り付けていることになる。 嫌でも、な。 嫌でも・・・・。 ・・・・嫌じゃないんだけどさ。 急に恥ずかしくなり、毛布をガバっと頭まで被ってみたものの することもないので、毛布から半分顔をだして窓の外を見上げた。 「あー・・・・。」 どうりで寒いわけだ。チラチラと空から雪が降っていた。 そういえば昨夜アスマが帰ってきた時にも、頭に雪を乗っけてたな。 てことは、随分積もってるんじゃないだろうか。 雪が降る、なんて毎年季節がやってくる普遍のことなのに、その度に わくわくしてしまうのはまだ俺が子供のせいだろうか。 またアスマにガキ扱いされるな。それに、毛布から出るのも寒い。 それでも寒さよりも興味が勝って、むくっと体を起こした。 「わー・・・すげぇ。」 そう声を出すと同時に反射的にアスマを叩き起こしていた。 わき腹にエルボーを1発。 「・・・いってぇな、おい。」 冬眠から覚めた熊は機嫌が悪そうだが、気にしない。 「見ろよ」 「あ?」 「雪」 「見た」 「嘘付け」 「夜から積もってたっつーの」 それでも渋々アスマは体を起こして俺の肩に毛布をかけて 窓を覗いた。 「わー。すげぇ」 「なんだよ、それ」 感想が俺と同じで笑える。 んじゃ、きっと考えてることも一緒だろうな。 一緒だといいな。 俺からは誘わねぇけど。 「あとで、やるか」 「ん?」 ほら来た。たぶん、同じこと考えてる。 口元の笑いをこらえるのに、必死。 「かまくら作り」 ダメだ、笑いそうだ。 「・・・・じゅ、重労働じゃねぇ?ソレ・・・。普通ゆきだるまとか・・・」 「おまえだって思ってただろ?こんだけ積もったら作れそうだって。 いいんだよ、大人はかまくら作りって相場が決まってるんだ」 毎度のことながらのアスマの屁理屈。嫌いじゃない。 「仕方ねーなー。つきあってやるよ。そのかわり、かまくら内は禁煙だからな」 「えぇぇぇ??」 俺とあんたが入れるかまくらなんて、どれだけ時間かかるかわかんないけど。 あんたがいれば暖かいに決まってるよな。 終。
ここまで読んでいただいてありがとうございます。 リハビリ1発目です。すっかり文の書き方を忘れています・・・。 ぬるい、甘い、微妙な仕上がりに・・・。 シカマルってこんなに乙女だったかな?ww 戻る