いつも余裕な顔つきでダラダラしてんのにやる時はやるし、強いし。
何も考えてないようでしっかり考えていたり。
内面も外見もタフな奴。
俺の中のアスマのイメージってそんな感じだ。


俺の中で数少ない、ちょっとだけ憧れる大人。
 














Lies and Truth 【Lies】

任務も午前で終わり、俺は特等席へと足を運んでいた。 初めてチョウジと言葉を交した高台にある昼寝場所。 タタタタッと勢いよく階段を駆け上がる。 「……」 先客の影を視界に捉えた。 思わず眉をしかめる。自己中心的な考えではあるが、 せっかくの昼寝タイムも他人がいたら台無しだ。 だいぶテンションを落としつつ、それでもせっかくの良い天気だし、と ドカっと不機嫌丸出しにベンチに寝転んだ。 「おー、シカマルじゃねぇか」 「3日連続。アンタとココで顔合わせるの」 ハァーっとおおげさ過ぎるため息をついた。 日常から解放される空間がお馴染みの顔がいるだけで現実に戻される。 後から来たのは俺なのだからしょうがないのだが、気に入らないものは気に入らない。 それも3日連続、先を越されている。 「そう怒んなよ。お前もどうだ?」 空から視線を外さず、ピッと煙草の箱を俺に向けた。 「未成年に喫煙をすすめんなっ不良上忍!」 ハハハと笑って、またアスマは煙を吐き出した。 見なくてもわかる。 きっと今日も足元に吸い殻の山を作ってること。 昨日もその前も山は築かれて。 俺はそれを見るのが悲しかった。 何故だかわかんねえけど。 「アンタ、毎日何しにきてんの?」 何度も口にしかけて飲み込んだ。 野暮な気がしたから。 俺だって同じこと聞かれたら 「雲を見に来てる」 なんて他人には理解しがたいことしか言えない。 それでもアスマが此処にくる理由が気になって暫く考えていたら 一つの答えに辿りついた。 誰かを待ってるのかもしれない。 そうだったら俺、邪魔かもしれない。 静かに体を起こし黙ってその場から立ち去ろうとしたら少し枯れた低い声に捕まった。 「のほほ〜ん、しに来たんだろ?まだいればいいだろう」 「……」 返す言葉もなくまた同じ場所に腰を下ろした。 「お前は勘が良すぎるのが難点だよなぁ」 今日初めて向けられたアスマの顔。 なんだか悲しい笑顔を浮かべていた。 やっぱり誰かを待ってるんだ。 きっと来るかどうかもわからない人を。 見るに耐えなくて視線を逸らした。 「ガキのうちから気、使ってるとはげるぞ」 「つ…使ってねーし、はげねーし」 そーかそーかとまたアスマは空を見上げて新しい箱を開けた。 もうやめたらいいのに。 吸いすぎも待つのも、体に悪いから。 「吸いすぎだろ」 「こんなもんだろ」 「声、枯れてるぜ?」 「心配してくれてんの?」 「…別に」 こんなアンタを見るのが嫌なだけ。 いつものアスマなら相手の都合構わず強引な手段で迎えに行くだろう。 大人しくただ待ってるアンタが酷く臆病者にみえる。 そんなのアスマじゃない。 アスマらしくない。 「やめたらいいのに…」 もしも耳が聞こえなくなっていても、こうして高い場所にいれば目に入るから。 もしも目が見えなくなっていても、こうして煙草を吸い続けていれば 匂いを鼻が感じるから。 追いかけて追いかけたのに行き違いなんてごめんだ。 それなら待ち伏せしてる方が確実だ、とアスマは言う。 見えない相手に嫉妬と羨望の混じった感情を抱く。 アスマにこんなに想われて幸せだろうな。 俺は心の中で祈った。 誰だかしんないけどさ。 早く会いにきてやれよ。 こんなアスマ見せられる方が迷惑なんだ。 「タダイマ」 俺たちの目の前に現れたのは木の葉の誇る優秀忍者。 陽の光を目いっぱい浴びた銀の髪がキラキラと輝いている。 この人だったのか。幸せ者は。 「おー、カカシ。遅かったなぁ」 待ち人の名を呼ぶ口調は俺が此処に来た時と同じだったけど、 視線はもう空へと向いていなかった。 しっかりと目をあわせている。 俺の方なんかちっとも見なかったのにな。 今度こそ離れようと目があったカカシ先生に頭を下げて階段を駆け下りた。 ふんわりとしたカカシ先生の笑顔と、煙の吸いすぎで頭が痛かった。 「よかったな、アスマ」 届くはずもないのに、気がつけば呟いていた。 終。
<あとがき> ここまで読んで頂いてありがとうございます。 アスカカ前提で、シカマルさんはアスマ好きーの自覚無しの設定です。 が・・・。どうしてうちのシカマルさんってばこんなにアスマスキーなんでしょうww 好き過ぎだよ。 戻る