おかしな二人

「はー…今回も流石だなぁ自来也様」 読み終わったばかりのイチャパラシリーズの最新刊を閉じた。 こうゆうのを読み終えたばかりの時は余韻に浸っているせいもあって、妙にいちゃいちゃしたくなる。 …のに、残念ながら膝の上で寝息を立てる熊しかいない。 これが愛しのあの人なら!! 寝てるすきにあんなことやこんなこと、そんなことまでできるのに…っ!! 残念ながらココにいるのは・・・熊だもんな。 読み終えた幸せの天国から現実に戻されて地獄って感じ。 「ハァ…」 「溜め息つくと幸せ逃げるぞ」 「…起きてたの?」 目、ぱっちり開いてんの。にやにやしちゃっていやらしい。 「お前があんまり幸せそうに読んでるから邪魔しちゃ悪いな〜と思ってよ」 ソウデスカ。 期待を裏切って悪いけど、夢からさめたら熊しかいない俺はとっても不幸せだよ。 「アスマ、いつまでこうしてんの?さっさとどいてよ」 「やだね」 「重い」 「寝心地いいんだよ、馬鹿」 何が馬鹿なのかさっぱり理解できない。 「ホント…どいて?」 少し真面目に凄みを利かせてみた。 そしたらアスマも真面目な顔作っちゃってんの。 「…結婚相手は二番目に好きな奴がいいとかいうよな」 ??何のお話?俺、どいて欲しくて怒ってるんだけど。 また アスマの指先に顎をつかまれる。 「なんなのよ…」 それはアスマに向かってじゃなく、自分の心臓に向かって言った。 意味もなく早く動き出すから。なんなんだ。俺の心臓め。 「カカシ」 ドキドキドキドキ。 心拍数はさらにあがる。 ちょっと待て。相手は二番手の熊だから。ときめく相手じゃないよ。 「生まれ変わったら、一緒になろうな」 偶然にもイチャパラの主人公が言った台詞と全く同じ言葉。 まさかの二番手の形勢逆転ホームラン… ちょっとだけ、嬉しい・・・。 「あんたが人間に生まれ変われたら考えてあげてもいいよ」 顔を真っ赤にしていっても意味ないと思うけど、そう返すのが精一杯だった。 返事はなかったけど、きっと互いに同じこと考えてる。 俺たち2人には二番手がちょうどいい。 終。 戻る