熊みたいでやる気がなくて
酒飲みで。
そのくせ老若男女に慕われちゃって頼りになっちゃう。
熱血じゃないヒーロー?
それが俺のアスマのイメージ。










Lies and Truth 【Truth】

ボロボロの体を引きずるように木の葉に続く田舎道を歩く。 予想以上に手強かった他里での単独任務は綱手様の軽いいじめとしか思えないほどに辛かった。 写輪眼の多用で目がイカれているのはいつものこと、凄まじい爆音のせいで聴覚も未だに機能が不完全だ。 鼻だけは異様に冴えている。 ポカンと空を見上げればボヤけた視覚でも清々しいとわかるほどに澄んでいた。 今頃はアイツも何処かで眺めているだろうか。 もしかしたら俺がいない間に違う相手を見つけて二人で見上げてたりするんだろうか。 裏切るような奴じゃないと信じていてもこの世に絶対なんかないからわからない。 空を見上げれば見上げるほど、考えれば考えるほど悲しくなってきて 前を見て歩くことにした。 アスマに会いたいなぁ…。 三ヶ月ぶりに木の葉の里へと足を踏み入れ、真っ直ぐに火影様へ報告を入れた。 「ご苦労」の一言と1週間の休暇をいただくと俄然元気が戻ってきた。 五感をフル活用させてアスマを探す。 任務明けの疲れも忘れてあちらこちらと、アスマがいそうな場所を歩き回る。 アカデミー生の集団とすれ違い、嫌な予感に再び襲われた。 浮き足たっていたのに急に底なし沼に入ってしまったように重くなる。 ずぶずぶと沈むような…。 違う相手見つけて。 アイツはああ見えてモテるから。 おかしくない話。 ありえる話。 一番可能性があるのはシカマルだ。 いつだってアスマは隣に置いていた。 三ヶ月も離れてて何もないわけない。 絶対なんてないんだから。 いつの間にこんなに疑い深くなったんだろ? 会って大丈夫だって言ってくれたら信じれるのに。 信じなきゃ信じなきゃとぶんぶん頭を横に降りながら歩いていると 冴えた嗅覚が懐かしい匂いを捕らえた。 「!」 単純なもので、それだけでまた元気を取り戻した。 同じ煙草を吸ってる別人の可能性など微塵も考えず、ただ匂いの元へと急いだ。 「タダイマ」 浮かれたテンションを誤魔化そうとしたら おかしな発音になってしまった。 「おー、カカシ。遅かったなぁ」 見ればアスマの足元には山のような吸い殻。 何ヵ所にもそれがあるから毎日此処で長いこと待っててくれたことがわかる。 真っ直ぐなアスマの目は【違う誰かと】なんて無かったことが読み取れた。 俺の考えすぎでよかった。 アスマの隣に座っていたシカマルが居心地悪そうに立ち上がった。 空気を読むのが上手な少年はぺこっと礼儀正しく俺に頭を下げると駆け出していった。 「……」 本当に大人びた子供。 大好きな【アスマ先生】を独り占めする俺がさぞ憎いだろうね。 顔に出さないだけかもしれないが少なくとも去り際の表情には 「よかったな、アスマ」 と書かれていたように思う。 「…よくできた子、だねぇ」 「ったく、ガキのくせに気ばっか使いやがって」 文句をいいつつ、どことなくシカマルのことを話すアスマは嬉しそう。 自慢の教え子だもんね。 「・・・・ふーん。妬いちゃうね」 「馬鹿か。だからお前はガキだっつーんだよ」 3ヶ月ぶりにアスマに髪をわしゃわしゃと乱されて、なんとも言えない良い気分。 こんなことで喜んで、教え子にヤキモチなんて妬いてる俺はシカマルよりよっぽど 子供だと思うよ。 それは認めてあげる。 「浮気してるかなーとか疑ってごめーん」 「するか」 「ま。アスマがそういうならそうなんだろうね」 「なんか・・・まだ疑ってねぇ?」 「どうかねぇ?」 アスマの言葉が俺には真実。 それも認めるしかないみたい。 終。
<あとがき> ここまでお読みいただきありがとうございます。 補足説明なんかしてみちゃったり・・・。↓↓ Lies>>嘘。待ち人を待ってるだけのアスマなんて アスマじゃねぇー!臆病者!偽者!(byシカマル) Truth>>真実。アスマさんが浮気してないっていうならしてない! 信じてるよv(byカカシ) と、こんな感じで違う視点で書いてみたり。 楽しかったッス。 アスマ争奪戦、もっと昼ドラ風にもいけそうww 戻る