100人の敵と1人の味方

偶然帰り道にすれ違った同級生たちと、久しぶりのくだらない会話の 最中のこと。 「シカマルって何考えてるか全然わかんないってばよ!!」 「お前が頭悪すぎるんだよ、ナルト〜」 ナルトとキバの会話に適当に笑って返す。 何気なく発された言葉に、プツンと何かが切れる音がした。 他人のことが全部わかるなんて怖いぜ、とは思う。 けど、「全然」なんてつけられたら友達ってなんだよって思う。 二人ともつきあい長いのに。 幼い頃から何度となく言われてきた言葉に、ズキリと胸が痛む。 イライラするような、寂しいような、疎外感のような。 なんだかわからないが胸が苦しかった。 「・・・・俺、帰るわ」 調子悪いから、と適当に理由を付けて二人に背を向けた。 物心ついたときからだ。 子供らしくない、可愛くない、ませてる、何を考えているのかわからない。 そういった言葉でばかり表現されてきた。 父ちゃんや母ちゃんにすら笑いながら言われて、内心傷ついていたりする。 口癖がこれまた可愛げのない「めんどくせぇ」のせいか、妙な落ちつきのせいか 何を言っても傷つかないと思われてるんだろうか。 「俺だってヘコむっつーの・・・。」 道端の小石をおもいっきり蹴飛ばした。 向かう先は俺に劣らずめんどくさがり人間の部屋。今日は夜まで帰らないって言ってたから 合鍵を使う。相変わらず小ざっぱりとして煙草くさい。 何も考えたくない。 布団に潜り込む。主のいない布団は冷たくて自分の膝を抱えた。 おっさんの匂いがする。 おっさんの顔が浮ぶ。 おっさんの体の温かさを思い出す。 「早く帰って来い・・・バカ」 泣ける。 次へ