G★T★A

「今日も任務お疲れさん!乾杯!!」 「かんぱーい!!」 担当上忍の音頭のもと、大人はビールを、子供達はジュースのグラスを高々と上げた。 「ぷっはぁ〜!!仕事の後の一杯は格別だなぁ」 あっという間にアスマのジョッキが空になる。 「あんた、そんなビールばっか飲んでるとビール腹になるぜ」 シカマルは皮肉を込めて脇腹を掴もうとした。 「おあいにくさま、まだまだ腹筋は健在だ」 「けっ…つまんねーの」 アスマ達が目の前でいちゃついているのも気にせず(もっともチョウジはいつものことだが) いのとチョウジは食い気に走っている。 シカマルの左手はまだ脇腹の肉を抓ろうと必死だ。 「何してんだよ」 「…毎日飲み過ぎ」 指先は空しく空振りしてしまう。 「心配してくれてんのか?」 「ちげーよ」 にやにやしたアスマは当たり前のような顔でシカマルの尻を撫でた。 空振りを続けた左手でその手を制した。 「…んだよ。いいだろ?」 「飲み過ぎるとそーなるから嫌なんだよ!!」 …エロ大魔神へと変貌するから。 「アスマ先生、ビール頼む?」 グラスを空にしたいのがかいがいしくアスマに聞く。 「お、悪いな。頼むわ」 いのも口は悪いけど気が利くし女の子だなーとご満悦なアスマ。 「あ、先生、これ焼けたよ」 チョウジが珍しくも自ら焼いた肉をアスマに進めている。 そのうえ 「はい、あーん」 なんて食べさせようとしている。 こんな"可愛い子供らしさ"に弱いアスマはもちろん 「あーん」 と口を開けている。チョウジの箸から頂く肉はいつも以上に美味しく感じた。 「今日の功労賞はチョウジだからな〜いっぱい食えよ」 気をよくしたアスマは自らの財布を滅ぼすような発言をした。 「わーい♪」 ちょうど注文を取りに来た店員にいのが伝える。 「ビールと…」 「ウーロンハイ」 いのとアスマが暫く黙っていたシカマルを見た。 「シカマル?」 「ウーロンハイ、一つ」 「かしこまりました。お持ちいたします」 店員は注文を書き留めると下がっていった。 「お前…飲むのか?」 「悪いかよ」 「いや…いいけどよ」 子供に飲ませる時点で教師失格だ。 何ごとも自分自身でやらせて決めさせる主義(あるいは放置主義)なアスマが文句を言うわけもなかった。 シカマルから言い出すのは珍しいことだったがそんな気分の時もあるのだろう。 シカマルが飲みたい気分になったのは。 いつになく上機嫌でデレデレしているアスマが気に入らないからだった。 (…いの達に妬いてどーすんだよ俺…アホか) IQ200の頭は一瞬でそう思った。重症すぎる、と。 飲んだら、アルコールを摂取すれば多少は気が紛れるのではと思った。 「お待たせしました」 シカマルの目の前にウーロンハイ到着。 「無理すんなよ」 隣からそんな言葉が聞こえた気もしたが無視。 グラスを持ち上げて喉に流しこんだ。 次へ