新婚さん、いらっしゃい

【お知らせ】と事務的に書かれたプリントに目を通し、シカマルは溜め息をついた。 シカマルの自宅はアカデミーまでかなりの距離がある。休憩していくにはちょうどいい場 所にアスマの部屋がある。その部屋が老朽化のため、取り壊されることになった。 「マジかよー…この古くさい匂いが落ち着くのによー」 また自宅からの通いになると思うと憂鬱になる。 シカマルの背中にベタリと抱きつく熊が耳元で低く囁いた。 「一緒に住むか?」 うへーうへーと嘆くシカマルに、アスマはダイナマイト発言を投下した。 真面目な表情なだけに威力も大きい。 思いっっっきり被爆者であるシカマルの顔が青ざめる。 聞き間違えたかと思い、確認してみると 「な…っんだって!?」 「新しい部屋借りるし、一緒に住まねーか?」 どうやら聞き間違いではないらしい。 今までは居座るといっても週に2、3日は自宅に帰っていた。母ちゃんに怒られるとか 親バカな親父が寂しがるとかいろいろ理由はあるが・・・ 完全に一緒に住むとなると躊躇せずにはいられない。。 「お前も楽だろ?」 それはそうなのだが… 「…一緒に?熊と?笑われる」 青ざめた顔でシカマルは言った。 特にいのに何て言われることやら…想像がつく。 何年先までネタにされるかわかったもんじゃない。 女はしつこい。 「笑わせとけ」 アスマはへんっと鼻で笑った。 シカマルは首を捻って考えた。 他人に笑われるのも、通勤の距離も別にして、単純にアスマと暮らす生活を頭に描く。 きっと毎日喧嘩するだろうし、叩かれるだろうし、スケベなこともしてくるだろう。 それに耐え切れるかどうかだ。いざとなったら帰ればいいだけのこと。 それに、きっとそれ以上にバカやって笑いあっている毎日が、素直に楽しみだった。 「……まー、アンタの味噌汁旨いしな。」 今度はアスマが青ざめた。 「なんだよ」 「シカマル…すごい殺し文句だぞ、それ」 「そ?毎日味噌汁飲ましてくれるんなら住んでやってもいいぜ」 「…ありがたく作らせていただきます」 次へ